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Sacrifice

-contemporary version


Instrument

Electric Guitar with pre-recorded Audio or 2 Electric Guitars

Programme Notes

“Sacrifice”は、音楽家/ギタリストである
マニュエル・ゲッチングさんへの
深い感謝と尊敬の念をこめて、彼のために作曲した。

彼の代表作「E2E4」のアートワークとタイトルに示唆されている
「チェス」を曲の構成に使う事を前提とし、
チェス盤を眺め、チェスのルールを学びながら、
音楽を作り上げて行く方法を探した。

最終的には、1956年に行われた歴史的な対戦である
ボビー・フィッシャー対ドナルド・バーン戦の試合記録を
音符に翻訳する方法を選んだ。

「E2E4」から拝借した音階を基にチェス盤に音を指定し、
駒の動きに従って柱となる音を選び、
それらの間に「E2E4」で使用されている
2つの和音の構成音を散りばめた。

チェスの試合を基にしてはいるが、
「対戦」ではなく「対話」として、
数ある可能性から最後の1つの答えに至る
慎重な道のりを、とつとつと歩を進めて行くように
音楽が始まって終わることを理想とした。

2022年12月4日、
マニュエルは天国へ旅立ってしまった。

“Sacrifice”は制作途中だった。

稀有な音楽の風景を見せてくれたばかりでなく、
同じ音楽家として
音楽で接してくれたマニュエルへの感謝は、
言葉では尽くせない。

なおこの作品は、同じスコアを用いながら
演奏のルールが異なる、2人の奏者の為の
「improvisation version」がある。